歩きの歌

始めの一歩はゆっくりだったはず。
数歩歩き始めて、だんだんと早くなって、駆け足になった。
気がついたら、全速力で走り出していて、そのうち疲れてとまってしまった。


周りがゆっくりと歩きながら俺のことを軽蔑するかのような目で見てから
何事もないように、俺の抜き去っていく。
そのうち呼吸も整って、また歩こうかなと思ったときだった。
何で俺はこんなに歩いているんだろうと考えた。


そのうちに日が暮れて、周りのやつらはいなくなった。
もう遠くに歩いていってしまった。
もしかしたら俺を抜き去った後、走っていったのかもしれない。
もしかしたら、まだ近くにいるかもしれない。


それでも俺の脚は動かない。
もはや俺の脚はくたびれて動かないとか、そういうことじゃなくて
自分自身の考えに足を絡まれて動けなくなっていた。